細木数子とは何だったのか。

詐欺師という類の人たちが世の中にいます。ある種とんでもなく頭が切れる方々です。どうすれば一定の数の人間が信用するのかを知り尽くしているのが詐欺師というもの。

例えば新興宗教の勧誘の方法のうちよく知られているものをデフォルメすると。

・適当に理由をつけて人に会う
・あなたの身近な人に近々不幸がありますと言う
・以下、これを全国行脚で10000回繰り返す

簡単ですね。これだけ種を撒くと、まぁ誰かが事故ったり病死したりで、『近々』も拡大解釈されたりして、的中したと解釈してくれる人が100人くらいいるでしょう。とんでもなく弱っていたりするとすがるものが必要なのでコロッといきます。これで一生そこそこ突っ込んでくれる金づるが100人完成。あとは絞れるだけ絞っとけば安泰もいいとこです。

実際になんとかのお導きでどうなりますとか、気の流れが乱れるからどうなりますとか、そんなことを全力で言い切るには一種の非常に高いスキルが必要ですが。

まぁテレビに出てきて好き勝手言ってる霊能者も、なんだコイツ頭おかしいぞと100万人に思われようが、それで5人客が来れば明日からオネーチャンに金ちらつかせて遊ぶことが許されるわけなので、それで良いと100%割り切るわけです。
商売をする者として言いますけれど、そんな割り切りはよほどの才能が無いと出来ないんですよ。まともな人間にバカとかクズとか言われるのをものともせず稼ぐなんてどんだけタフな精神してんだって話じゃないですか。

なんか細木数子とかいう人がテレビに出てましたよね。
あれなんかもう化物クラスじゃないですかね喋ってんの見ただけで。
ちょっと彼女について書いてみようかなと。

とりあえず略歴から、時系列順で。

・政治やら暴力団の絡んだ親父が7歳の時に死亡
・16歳でミス渋谷
・コーヒー屋を開いて高校を中退。開店半年で売却。次の店を出すも、翌年売却。20歳で銀座で店を出す
・25で一度目の結婚、三年後に離婚
島倉千代子の借金を返して権利等買収
・芸能プロダクションを開設
・44歳で自著"六占星術"がベストセラー、ブームを起こす
・45歳で認知症の85歳男性と結婚しようとするも、相手方の親族に無効の申し立てをされ、更に本人他界で、そのまま婚姻契約は無効
・墓を1000万円など高額で売りつけ、全国各地で損害賠償請求の訴訟が起きる
・2003年(この時65歳)から高視聴率の番組を持ち始め、大ブームに

あとはご存知の通りメディア界で暴れまくるわけです。対抗勢力には暴力団に金渡して脅しかけたりとかしつつ。

まぁなんというか、どっからどう見てもはじめから商売の天才なわけですよ。
17で店やって半年で売却て。20歳で銀座て。

自分の商売で稼ぐ人というのは、基本的に大嘘つきです。
良心的なお店を極めて良心的に経営している人も、もちろん大嘘つきなわけです。

あれだけ露骨に下品な臭いを漂わせながらも、やたらと食いつき率の高い種を撒きまくるもんだから、ものすごい数の人が『割と無害な形で』釣れるわけです。その他の誰が何を言おうと関係無い。実際に自分を潰しにかかってくる者へは圧力かける準備もありますと。

いや、YouTubeで動画見たりもしてみたんですけど

なんかもうよくやりますよね。
なんか意見とかを色々批判したりする人いますけど、真に受けちゃってる時点で基本的に罠にはまっちゃってるという気がします。

相手はプロなんです。プロっていうのは私見を挟まない人たちですから、徹底的にこのやり方ならいける、というのを貫いてきます。私見を挟まないから言葉にこだわりも無いし否定されても怒らなくて済む。怒るポーズをとることはあっても、ですよ。それに対して真面目にアイツの考えはどうだとか、しょうもないこと言ってるとか感情を乗っけて批判したりすると、それこそもう思うツボなんじゃないかな。


さてさて極端な物言いをしてみましたけれども、稼ぐのが上手い人たちっていうのは女を口説き落とす男や、男を泣き落とす女と同じなんです。自分の気持ちまで稼ぐのに利用出来る。自分の感情のどこかに火がついて泣くことが出来そうだ怒ることが出来そうだ、ここで泣けば怒れば得することが出来る、ならば・・・てなもんです。

それを真に受けてあくせくすることが幸せなのか、不幸なのかはまた別のお話だとは思うのですけれど、ね。